ポケパや玉神楽にも通じるところがあると信じて。
トランプは使うカードにあまり変更を加えず、ほぼ一定のものとしてきた。おそらく経済的な観点からだろう。しかし毎回、同じ道具で同じゲームなのはつまらない。どのようにゲームの多様性を確保するか、知恵を絞った。道具は物質であり有料だったが、ルールは情報であり無料であることを発見した。ゲームの多様性はルールの変更によって得られた。
単に「TCG」と言ったとき、トランプその他の伝統的なゲームは含まないことにしよう。遊戯王、デュエルマスターズ、MTGといったような、現代的なトレーディング・カードゲームを指して「TCG」ということにする。このようなTCGでは、ルールの多様性はむしろ小さい。多様なのはカード──つまり道具のほうだ。数が多いだけでなく、数ヶ月に一度更新され、澱んだ空気に新鮮な風を吹き込む。弱いカードではそよ風にしかならないから、当時の基準よりやや強めのカードを投入し徐々にインフレさせるのが一般的である。
MTGには「ドラフト」「スタンダード」「エクステンデッド」とルールの多様性があるではないか、と考えるかもしれない。確かに、規模と年齢層の点から、MTGはルールの多様性を導入するのに適したTCGだ。しかしいずれも「カードプール(使用可能なカードの総体)」を変更しているにすぎない。ドラフトで強いカードは構築でもおおむね強いし、プレイルールまでもが変わるわけではない。
トランプは道具を固定してルールを動かす。TCGはルールを固定して道具を動かす。新旧ゲームの相違点はここにある。
このような二項対立を念頭におくと、ポケモンはTCGに近いことがわかる。道具・特性の追加、物理特殊を技ごとに設定するなど新規要素はあったが、「ターン制」「タイプ相性」「技4つ」という根幹は変わらなかったし、むしろポケモン(とその型)=道具の多様化を促すものであったと見るべきだろう。
ポケモンのTCGからの差としては、新規要素の導入=新鮮な風を吹き込む回数が少ないことがある。TCGが年に数回の変更を行うのに対し、ポケモンは世代更新に3,4年、それらの中点にエメラルドやプラチナ、リメイク作品が入る程度である。TCGに似てはいるがそのものではなく、「あくまでRPG」ということであろう。
ポケパは劇的な変更こそ原作に頼らざるをえないが、仕様変更を通じて常に新しい風を吹き込むことで「飽き」がこないように工夫している。原作と多くの共通点を持つポケパ(好意的な書き方)も「TCG的」である以上、インフレ調整は仕方ないし、またそうすべきだとも思う。「出る杭を打つ」ことを否定はしないが、それをメインにべきではない。デフレ調整に「面白さ」はない。
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